蓮 (Lotus)

This reading was recorded by Alessandro Mistrorigo for Phonodia at Villa del Grumello in Como, Italy, the 9th of May, 2015, during the “Europa in Versi” Poetry Festival organized by “La Casa della Poesia di Como“. Special thanks to Laura Garavaglia.

Read by Mariko Sumikura on 9 May 2015

蓮 (Lotus)

泥から生まれたというのに、すっくと立つ誇り高い御身。その逞しい茎は地上よりまっすぐ伸び、水の上に届く。そのひろやかな葉は、水に支えられて浮かび、小さな露を遊ばせ大きな露を水へ返そうとゆるやかに揺れている。

蓮よ。あなたを愛しいなんてとても言えない。花なのに、あなたを拝したく思う。
朝、未明。静けさがひときわ張りつめる瞬間に、あなたは輝かれるから。

蓮よ。あなたを悲しそうなんてとても言えない。花なのに、あなたを信じたく思う。
タ、薄明。静けさがひととき安堵する時間に、あなたはほほ笑まれるから。

たった4日間の命のあと・・・・
やがて時がくれば、泥の中で厳しく他者を退けておられたあなたは、もういい、もう十分だと思われたら、眠るようにまるで端々から溶け、泥そのものになられる。

あなたにお暇(いとま)は言えない私は、いつまでも光る泥を見つめて佇んでいる。そして水底を思う。輪廻。再び生きる準備を果たしているあなたと再びまみえるその日を。

from Kokoro kaoru hito / A woman who has aroma in heart (Osaka: Chikurinkan Publishing Company, 2008).

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